陸前高田の復興最前線!巨大ベルトコンベアが実現する7年の工期短縮

こんにちは、建築技術者のyutaka(@goyutaka)です。

今年の3月で東日本大震災発生から4年目を迎えようとしています。

当時東京の会社に居た私はその後取引先の建物復旧の為の工事やプロジェクトを後方支援という形で業務を行っておりました。
この日まで一度も被災地を訪れておりませんでしたが、今回「ベルトコンベア」施設を見学する機会があり実際に自分の目で見てきました。



今回のコンベア見学に当たっては、
見学の受付とコーディネートをしている「まるごとりくぜんたかた協議会
工事施工者の「清水・西松・青木あすなろ・オリエンタルコンサルタンツ・国際航業 陸前高田市震災復興事業共同企業体
参加者募集と現地引率をして頂いた「RoadJapan」の長野さん
米沢商会の米沢さん
ほか現地の皆様のご協力のもと、参加してまいりました。

この記事執筆にあたっては、どう表現するべきか迷いもありました。
あくまで私「さわだ ゆたか」というフィルターを通してのものです。
立場・環境によって感じ方も違うとは思いますので、その点はご理解ください。

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地面をかさ上げするという事

このベルトコンベアが設置された背景には、東日本大震災で受けた津波被害から多重防災型の街造りをするためである。
海岸にほど近いガソリンスタンドの看板の上に矢印が書かれた「津波水位 15.1M」


高台を削って住宅街を造り、新市街地をかさ上げするという事で今後の津波被害を最小限にし新しい街を作っていくものです。

下の工事平面図にあるように「土」を矢印の方向に動かす大規模な工事なのです。

陸前高田清水JV公式サイトより出典
7年も時短できる驚きの搬送設備!

この工事では、たくさんの「土」を移動させます。
平成24年度発注工事では掘削土量合計「780万㎥」
平成25年度発注工事では掘削・盛り土量合計「407万㎥」

総合計「1,187万㎥」で東京ドーム約10杯分もの土を移動させるのです!
この移動を行う設備が巨大ベルトコンベアーです。
沿岸部がまるでプラントになったように巨大な設備が横断しています。


この設備によって、今回の大規模造成工事が「通常9年」の工期を「2年」という短期間で完成させます。
7年も短縮できる設備ってものすごいです。

下の写真は今泉地区の山に設置された巨大な破砕機。
山を削った岩をこの機械に入れることにより工事に使うための適切な大きさに破砕します。

写真は左側の施設で4台の破砕機が入っており、右側にも同様に4台で合計8台もの機械が轟音をあげながら岩を破砕しています。
このエリアでは、まともに会話ができない程の音がでています。


破砕された岩を運ぶ巨大ベルトコンベア。
屋根が切れた部分からは運ばれている岩(土)を目視することができました。


総延長約3kmのベルトコンベアで運ばれる先は高田地区。
途中、気仙川を渡る部分は地元小学生によって名付けられた吊り橋「希望の架け橋」を通過して先へ先へと「分速250m」のスピードで高速に運ばれて行きます。


荷下ろし先はこのような光景。


荷下ろしされた岩(土)は大型ダンプによって高田地区のかさ上げ現場まで運ばれていくのです。
写真手前は仮置き場で、奥がかさ上げ現場のようです。


街を通過するとこのような巨大ベルトコンベアと、土の仮置き場を間近に見る事ができ圧巻です。


工期短縮をする機械とIT技術

ベルトコンベアーで運ぶ岩(土)を動かす為に使用している建設機械も大型です。
主に下の写真のような機械が現場で使用されています。


そしてこの現場を正確に施工して行く為のIT技術も驚きです。
重機が動かしている土砂の締め固めや、高さの状態を管理しているガイダンス機能で正確にかさ上げして行きます。


各種機械の位置情報もリアルタイムで管理されていて、どこに機械がいるのかも一目瞭然となっていて効率よく施工を進める事ができます。


そして無線コントロールの飛行機で航空写真やGPSによる測量で出来た部分を計測し出来型管理をしています。
建設業もやっとIT化が進んだなと感じる瞬間でした。

さいごに

今回の現場見学会は一般募集しているものですので、是非陸前高田を訪れて復興していく姿を自分の目で見てほしいです。
テレビで見て感じるものとは全く別の気持ちを感じる事ができます。(私はそうでした)

ひまわりの種と工事で使用している土が入った「陸前高田の土瓶」という参加記念を頂けます。
陸前高田から全国にヒマワリが広がり、陸前高田を思う人が一人でも増えて欲しいという想いが入ったお土産です。


このツアーは参加費¥1,500(記事執筆時点)で、この一部が「高田松原を守る会」に寄付されます。
多くの人に是非参加して頂いて、復興真っ最中の陸前高田を見て欲しいとの事でした。
ツアー概要はコチラの「まるごとりくぜんたかた協議会」様にお問い合わせしてみて下さい。

そして夜間には希望の架け橋のライトアップも行われております。
下の写真はコンベア部分の夜景。


この設備の活躍で一刻も速く高台建設が完了して、安心して住める街が出来上がる事を願っています。
陸前高田の新しい街が出来て行く姿をまた拝見しに訪れたいと感じた次第です。

また記事執筆時点でのGoogleストリートビューで2013年6月時点の写真が使われておりまだベルトコンベアーが設置されていない過去の状態を見る事ができます。
私もこの画像をみて、当時と今の違いを感じとることが出来ました。



※この記事は工事内容(概要)のみにフォーカスして書いた記事となります事ご了承下さい。

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